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映画「ポケットモンスター ココ」感想

映画「ポケットモンスター ココ」のネタバレを含みます。

 

 

特典つきの前売り券を昨年の夏に買っておいたんだけど、色々ミスってて当日券を買って見た。

特典の色違いセレビィとザルード、探検ピカチュウのマスコットを買ったということでヨシとする。ちょっと高いけど。

 

ポケモンの映画を見るのは久しぶりだ。もう10年ぶり?とかだと思う。

めちゃくちゃ期待してたわけではないけど、大好きなポケモンが出るらしいことをTwitterで見かけて知ったのでそれが楽しみだった。

 

 

最初の、ザルードの群れが森で暴れ回るシーンで流れるジャングル的な歌が、ちょっとシュールで笑った。

その後に、この歌が森のポケモンたちが人間との戦いに臨む際の狼煙みたいな感じで流れて、それに合わせて皆が足踏みするシーンでもやっぱりなんか笑いそうになった。

ダサいとかじゃないんだけど、なんか面白い。

 

そして人間の赤ちゃん(ココ)が登場して、嫌々それを拾ったザルードは群れを抜けて、ココはすくすく育っていく。

ツルをパシッとアンカーみたいに使って森を駆け巡るところがカッコいい。進撃の巨人の立体機動みたいで。

見逃してるだけだったらあれなんだけど、ココの名前の由来ってなんか言われてたっけ?父ちゃんザルードがつけたのかな。

冒頭からはっきりとザルードが日本語を喋ってて、これサトシとかにも通じる感じか?と思ってたら、森の中では通じるポケモン語だった。

その後ココは事故で滝壺に落ちて、そこを偶然サトシに助けられて街に行く。ココが街で過ごすシーンで、そのことがすごくわかりやすく描かれていた。

そのコミュニケーションの壁みたいなところを、シリアスすぎず適度にコミカルに見せるところがすごいなと思った。

 

サトシと一緒にココが知らないものだらけの街を散策するシーンで、ガラル御三家が出てくる。

よく見てないと見逃してしまうくらいちょっとしたシーンだったけど、あれくらいでちょうどいいのかもな、と思う。

御三家最終形態はやっぱり強いしハデだから、ストーリーに絡んでくるとなるとさじ加減が色々難しそうだ。

マキシマイザズのドラマーやってるゴリランダー、野良バトル?でナットレイしばいてるエースバーン。インテレオンはトレーナーらしき男性と一緒に道を歩いていて、ふとアイスの屋台で立ち止まってガラスに頬杖をつく。

トレーナーが「えっ欲しいの?」みたいな感じで少し行ってから立ち止まるあたり、このインテレはかわいがられてるんだろうなと思った。

さりげないけど、描いた人最高!!拍手!

インテレ大好きだから出てきてくれてすっごく嬉しかった。

 

ココが何かに気づいたりして突如走り出すシーンがちょくちょくあるんだけど、それにイラつく様子もなく、いつも気さくで優しいサトシはすごいなと思った。(ココがアホとかそういうのではなく)

私が小学生の頃は、「サトシ=なんか元気なやつ」みたいなイメージしかなかったけど、大人になって改めて見ると、めちゃくちゃ健やかでいい子だな…ってじーんときた。そのパワフルな優しさとか行動力はストーリーをサクサク進めるのに必要だから描かれている節もあるんだろうけど、それにしても素直に感動してしまった。

 

そのあと、街からサトシと一緒に森に帰ってきたココ。サトシとピカチュウをツルで捕縛して吊し上げる父ちゃんザルードのシーンは、ザルードってけっこう臆病な性質っぽいなと思いながら見ていた。

群れの掟に「住処によそ者は入れない」というのがあるとことか、常に喧嘩腰のところとか。森の中ではめっちゃ強いし獰猛で血の気が多いザルードたちも、本能的に自分たちより強い存在がどこかにいるってことを察知してるのかなと思った。

で、父ちゃんになったザルードはその中でわりと強いっぽい。リーダー猿に「おまえのことは信頼してたのに!」「長老はおまえには甘いからな」とか言われるあたり、たぶん地位?的なのは高い方だったんじゃないかな。

ザルードの声は皆カッコよかった。ツルの巻き方で個性が出てるのもいい。

 

全体を通して、森の描写がすごくよかった。

実際のジャングルとかポケモンの図鑑説明と比べてどうこうとかじゃなく、ワサワサとみずみずしく密生してるように見えて、臨場感があってなんか気分がパッと明るくなった。

普段あまり家から出ないし運動もしないし、色鮮やかな葉や枝に囲まれる機会が少ないからとても新鮮に感じただけかもしれないけど、たぶんそういう人って私の他にもいるだろうから、ぜひおすすめしたい。めっちゃいい映画だったよ。

あと、大樹とか水辺に流されてきた赤ちゃんとか、なんか既視感あるなと思ったらドラクエ11のストーリーにあったんだった。映画から帰ってる時に思い出した。

 

あとサトシとピカチュウ&森のポケモンたちとの共闘のシーンもよかったな。

フライゴンとかテッカニンとかが奮起してるのもなんかすごくいじらしかったし、リーダーザルードがピカを「黄色いの!」って呼んだのにも、キター!!!みたいな感動があった。呼びそうだと思ってたんだよね!「ピカチュウ!」とか呼んだら笑うもんね!

ピカチュウよりゴロンダを運んでパンチさせた方が丸ごと壊せんじゃね??とか思ったけど、クライマックスのシーンで投げるべきはやっぱりピカチュウだ。いいシーンだった。

思ったより軽快に歩くバンバドロとか、枝にぶら下がってたらぶつかられて落ちて目を回すタネボーとかもかわいくてよかったな。あ、でも雨に降られてるのにポジフォルムのチェリムはちょっと気になった。

森のポケモンたちに対して、傷ついた父ちゃんザルードが力を貸してくれって土下座するんだけど、その時にコノハナがきのみを投げるのね。

やっぱり威嚇というかブーイング的な意味なんだろうし、そういう感じで話も進んでたけど、そのきのみが見た感じオレンのみ(ゲーム内では体力が少し回復するきのみ)だったから、これでも食って回復しろよ的なツンデレなのかな?とかも思った。(たぶん違う)

 

ロケット団も、今見るとなんか無邪気でかわいかった。いいキャラしてるよなと思う。

コジロウのハイスペぶりと、奔放でめちゃくちゃ元気なムサシ、なぜかカツラをかぶって変装するニャース(そのままでいた方が絶対怪しまれんだろ)、意外と表情豊かなソーナンス

彼らの動きが、いい感じに話を進める歯車になっていて面白かった。

そういえばなんでジャリボーイ(サトシ)とピカチュウを追っかけてるんだっけ?そこらへん、前にアニメで見た気がするけどちょっと忘れちゃったな。

 

セレビィはほんと最後の30秒くらいしか出てこなかった。旅立つココを見送った父ちゃんザルードと一緒に森を飛び回って、エンドロールにつながる。

ココをタイムスリップさせるとか予想してたけど、現れることで「いい時代になったね!」「この先未来は明るいよ!」ということを暗示しただけで出番は終わり。

これくらいあっさりしてた方が、ココとかそういうメインキャラを霞ませないし、ストーリーが複雑になりすぎないからよかったのかも。セレビィはかわいい。

 

悪役となるゼット博士というおじさんも、なんだこいつ…ってドン引きするようなガチで嫌な感じのキャラではなかった。

「あの大樹の(ココの両親であるモリブデン夫妻が発見したが、森のポケモンたちのために隠した)力があれば、たくさんの人が救えるのに…!!」って苦悶するあたり、大事な人を病気で亡くしたとか、そういう過去を持っている優秀な人なんだろうなと思った。基本丁寧な態度だし、声がカッコいい。スーツと髪型がトンチキなのでパッと見でこいつ悪役だなって察した。

でも大樹見つけてテンション上がったからって、どでかいアンカーぶち込んじゃダメだろとは思った。

研究員たちは、善人なのはわかったけど気づけよ!ってなった。一緒に研究してるなら怪しいところの一つくらいないとおかしい。それだけ信頼が厚かったのかな。

あと真夜中、どしゃ降りの中ゼット博士(その頃は助手?)とカーチェイスして爆死してしまったモリブデン夫妻はちょっと悲しかった。死ぬにしても、もうちょっとこうなんかあるでしょう。

まぁ、そうならないと息子アル(ココ)が森に流れ着かないから、仕方ないといえばそれまでだけど。

 

「ココ」っていう名前はたぶん、ローランドゴリラのココ(世界で初めて手話を使い人間との会話に成功したゴリラ)から来てると思うんだけど、その現実世界との対比みたいなのもよかったな。

ココへのはなむけにザルードたちが打ち上げた水の花火も、本物の爆弾で打ち上げる人間たちの花火と対比が効いていて(水⇄火みたいな)素晴らしかった。

 

父ちゃんザルードしか使えなかったジャングルヒールという技は、ラストでは群れの皆が使えるようになる(長老は元々できたのかな?)。

たぶんあれは、ザルードというポケモン単体の力ではなく、森(大樹)の持つ治癒の力を引き出せる仕組みなんだと思う。

ココが現れる前の群れは暴君として君臨してたわけだけど、彼らがそんなふうに獰猛な強さを持ち、その力を自分たちのためだけに振り回す時代が存在したことにもちゃんと意味があったんだな。

森で暮らす他のポケモンたちが彼らほど強くないことにも、ココが人間でありながら森で育たざるをえなかったことにも、セレビィが長らく現れなかったことにも。

最後、ココの背中を見送りながら泣くのをこらえるホシガリスの頭を、父ちゃんザルードが爪の先で軽く引っかくようになでてあげるシーンがある。あれは、たぶんココにやってあげてたから力加減わかるんだろうなと思った。あの鋭く尖ったでかいツメでそんなこともできるんだなって、なんかじーんとした。

ストンと腑に落ちる、綺麗な終わり方だった。

 

 

入場特典として父ちゃんザルードを無事もらったんだけど、

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 こいつがココを育てた本物の個体だとすると寂しすぎるので(だって成長したココが森に帰ってきたら父ちゃんいないってことになるじゃん)、映画の時代からけっこう経った群れの一員のザルードが、似たようなピンクのマントを巻いてこっち(剣盾)に来たということにした。

こういうふうに、ポケモンははてしなく想像できるのが楽しい。

改めてすごいコンテンツだと思った。見つけられて、ハマることができてよかったな。

 

ミュウツーの逆襲とかルカリオとかソロアークのやつとか、ポケモン映画の過去作はまだ見てないのがたくさんあるので、これから見ていきたい。

あと明日からのウッウレイドも地味に楽しみ。